建物の安全性 その⑦
2021/10/11
建物の安全性 その⑦
貸主の『土地工作物責任』
阪神淡路大震災で倒壊した建物の中には、残念ながら旧耐震マンションで入居者が犠牲になった事例がありました。このマンションは貸主が建築後16年経過した時に購入し、建築後31年が経過して地震の被害に遭い、1階部分が押しつぶされて入居者4人が犠牲となったものです。
旧耐震マンションと言っても建築時合法的に建てられていれば良いのですが、この事例では建築時の欠陥が判明して貸主の『土地工作物責任』認められ、1億2,900万円の損害賠償が認められました(神戸地判 平成11年9月20日)。途中で所有者が変わったからといって免責される訳ではありません。所有不動産が建築当時の法律に適合しているのか・その後の不具合等にきちんと対応しているのかがポイントになるようです。
賃料を得ている以上、貸主には所有不動産を安全に提供する義務があります。旧耐震建物であれば安全性が担保できていないと言えますので、いつ起きるかわからない予測できない規模の自然災害に普段から留意する必要がありますね。
皆様ご所有不動産はどうでしょうか?注意を喚起する事例です。建築当時合法でも、現行の法律に適合していない不動産は『既存不適格不動産』といいます。次回はこの点についてお伝えします。